出前館QAエンジニアの役割とチャレンジしているミッションとは?

出前館を支えるエンジニア部隊。エンドユーザー向けの注文サイト、配達員向けのデリバリーシステム、加盟店向けのマーチャント領域と、エンジニアが関わるシステムは多岐にわたります。今回は品質管理に特化したQA(Quality Assurance)エンジニアをクローズアップ。その役割とミッションについて、QAチームマネージャー・鈴木里惇に話を聞きました。

目次

自己紹介

―まずは自己紹介をお願いします。

QAチームマネージャーの鈴木里惇です。2012年にLINE株式会社(以下、LINE)に入社し、LINEでは古参メンバーになります。LINEにはファミリーサービスという、LINE NEWSに代表されるLINE関連のメディア・エンタメサービスがたくさんあるのですが、そのようなサービスのQA担当を経て、現在はファミリーサービスのQAマネージャーを担当しています。更に出前館へ出向し、出前館サービスのQAマネージャーを兼務しています。(2021年8月24日時点)

品質管理のエキスパート部隊"QAチーム"の役割と意義

―出前館QAチームが発足した背景と役割についてお聞かせください。

昨年LINEと出前館が資本業務提携を結んだ時点で、QAやテストの専門組織が出前館には存在しておらず、基本的には開発者自身がテストを行ったり、一部の大規模なテストをテストベンダーに委託しているという状態でした。そこで品質管理を専門で担当する組織を作ろうということでQAチームが発足しました。

QAチームは品質管理全般を担当します。QAチームというとテストをするだけの組織と思われがちですが、テストというのは品質改善するためのあくまで一つの手段に過ぎません。ここでいう品質とはプロダクトだけではなく、プロジェクトの品質も良くするという両方の意味合いがあります。プロダクトの品質は、一般的にテストを通じて検証をし、担保していくもの。プロジェクトの品質はもう少し広い意味での品質を指していて、プロジェクト全体のプロセス改善を推進していくというような部分も、我々QAチームの役割として定義しています。これはLINEにおけるQAの定義でもありますが、出前館でもQAチームは同様の目的と役割を目指しています。

―QAチームを内部に置くことで、どういったメリットがあるのでしょうか?

内部にQAチームがない場合、一般的に内部のQAではない部門でテストをしたり、テスト自体を外部の第三者検証会社などに委託して実施することになると思いますが、そうすると所謂テスト実行という手段で品質改善を行う、欠陥検出型のアプローチになると思います。QAチームを内部に設けることで、テストをするだけではなく、上流工程の作り込みの部分から品質を改善していくいわゆる予防型のアプローチがとりやすいというメリットがあると思います。

また、プロジェクトメンバーに品質について責任や高い意識を持ってもらう提唱者のような役割を担うこともQAには必要かなと個人的には思っています。

―出前館QAチーム発足当初の課題や取り組みについてお聞かせください。

私自身、出前館の状況がわからない中で、QAとしてプロジェクトにジョインしました。最初は泥臭く、まずはサービスについて深く知る必要があったので、各プロジェクトから横断的に依頼されるテストの要求に対して、1つ1つ拾って愚直にテストを遂行しながら、プロジェクト全体の進め方や状況に対する理解や整理を進めていった形です。

それと同時に、出前館にはQA組織がこれまでなかったので、QAチームを組織として持つ意味や、出前館の中での課題に対してQAに何ができるかという期待値の設定を整理していきました。

またチームとして、出前館の現状の課題解決を最優先に取り組むべきだと思っていました。

当時まず課題だったのは、多くのテストが開発者の手によって行われており、それにより本来の開発業務が逼迫されていたことでした。プロジェクトとしてリリースするまでのテストのプロセスも定まっていなかったため、QAチームでできるテストは請け負い、開発サイドで進めるべきテストは開発で行うという役割整理をしたり、QAのテストでも外部で行ったほうが効率的なテストについては委託を進めました。

出前館という歴史の長いサービスの中のプロジェクトで、どういう部分から入っていくべきなのか、ということを紐解きながら、足りないところを徐々に埋めていく形で1つずつ進めたのが最初のステップでしたね。今もプロジェクトを進めるなかで大変なことが多いですが、QA組織を立ち上げてプロセスを定着させるまでが一番大変でしたね。

出前館QAチームのチャレンジとミッションとは

―QAチームのメンバー構成と案件の進め方について教えてください。

出前館QAチームのメンバーは現在私を含めて7名在籍しており、それぞれ見ている領域が異なります。エンドユーザーが使う注文領域、配達員が使うデリバリー領域、加盟店が使うマーチャント領域と大きく3つあって、QAチームではすべてのプロジェクトを横断的に見ているのですが、フォーメーションを組んで各2名ずつの体制で担当しています。

QAチームとして大枠のテストのプロセスや進め方、成果物のフォーマットなどはプロジェクトで共通化しています。その中でそれぞれプロジェクトを進めるうえで不足があればチームで意見を集約して、プロセスを改善して段階的に実行していくという進め方をしています。またメンバーごとにチームとしてトライしたいことがあれば、都度チーム内で評価をして採用していくようにしています。

QAチームのマネージャーとしての私のスタンスは、チームのプロセスの意思決定についても私が主導して決めるのではなく、できるだけチームメンバーからの主体的な意見を尊重して決めることが多いです。メンバーのやりたいことを実現できる環境を作ることは、チームで成果を出すことと同じくらい大事だと思っているので。

―QAチームとしてどのような点がチャレンジだと感じますか?

一般的に成熟した組織では、QAプロセスやQAの担当領域は決めてしまえば、あとは運用をするフェーズに移ると思います。一方で出前館は決められたものがなく、いまでも新しいルールを作ったり整理したりしている段階なので、できることの可能性は無限大。自分たちのやりたい方向性や取り組みを色々と入れていく余地がある点で、非常にチャレンジングだと感じています。

チーム内でも短期的に振り返りを行い、より効率的にテストをしたり、品質を高めるための方法や、プロジェクトの課題に対する改善策について意見を出し合い、それらを解決するためにはQAチームとしてどういう動きをしていけばいいのかを考えています。

―現在どのような課題と向き合っていますか?

現在向き合っている課題の1つとしては、テストの構成管理の見直しですね。案件が多くていつどんなテストをやっているのか、それぞれがどんなステータスで進んでいるのかがわかりにくいので、テスト管理ツールを導入して改善を図っています。

また、これは課題というよりはトライしたいことですが、UIテストの自動化についても取り組んでいこうと考えています。出前館はリリースも多く、開発者やQAが頻繁に泥臭くマニュアルのテストをせざるを得ないことがあるのですが、LINEでも使用しているテスト自動化ツールを出前館でもトライアルしてみるなど、色々新しいソリューションを取り入れながら課題解決を図ろうとしています。

あとは、テスト自体のクオリティをあげることも大事だと思っています。現状、出前館のドメインエキスパートメンバーに聞いて初めて知るようなことも多いので、テストでプロダクトの品質を事前に予防できているかというと、まだ足りないところがあるんです。継続的に学習をしていくしかないですし、そこも課題だと感じています。

―出前館のサービスをより良くしていくために、QAチームが抱えるミッションとは?

まずはテストの精度をもっと上げていくことが重要です。QAとしては、プロダクトの品質管理ができている前提で、プロジェクトの品質を改善するフェーズに進んでいくべきだと思っているので、まずはテストの質を向上して本番環境の不具合や障害を減らすことがミッションですね。

プロジェクトの課題で言うと、QAだけでは解決できない、開発や企画を巻き込んで一緒に解決していかなければならない課題もたくさんあります。誰も推進してくれないけどみんな漠然と困っている、不自由に感じているような課題についても、我々QAチームも率先して拾い上げて、周りを巻き込んで進めるということを少しずつやっていきたいです。

出前館全体の品質を良くしていくことに対して、"QAチームはここまでしかやらない"という制約は設けず、我々のスキルや専門性を活かしてできることに対しては、やれることを愚直にやっていくことが継続的な目標です。

出前館QAの面白さと求められる人材像

―出前館QAの面白さ、やりがいはどういったところにありますか?

出前館にQAチームが作られてからまだ日が浅く、役割としても、事業部からどういうことをやってほしいと具体的なことはあまり言われておらず、責任についても任されている状態です。新しいことをやりやすい環境ですが、自由を与えられているからこそ責任も伴うし、ちゃんとその中で成果を出していかなければならないのはもちろんですが、自分たちでやりたい組織を作っていけるところに面白さを感じますかね。

また、出前館自体がサービスとして非常に広いドメインを扱っている点も面白さの1つですかね。配達領域、注文領域など色んなシステムがあり、幅広い技術にも触れられる環境だと思います。

―どんな人が出前館のQAエンジニアに向いていますか?

私が思うQAエンジニアの3つのスキルセットは、テストの専門性、開発のベーススキル、プロジェクトマネジメントのスキルです。テスト自体のスキル。テストを効率的に進めるための最低限の開発スキルや知識、プロダクトの仕組みに対する理解。プロダクトマネジメントにコミットするスキル、がそれぞれ必要だと思うので、そのようなスキルや経験がある方がよいです。あとはコミュニケーション能力が高い方ですね。人が多くてコミュニケーションをとる機会が非常に多いので。

また、今やっている業務を平行線で安定的に行うというよりは、新しいことや、より良くしていくためにパワーを使っていく必要があります。自走ができて、課題を見つけてそのためにどう動けばいいのか考えて行動できる人。現状を変えていく力のある人が活躍できる環境かなと思っています。

 

※新型コロナウィルス感染防止対策を充分に行った上、撮影時のみマスクを外しております。

インタビュー エンジニア キャリア 採用 新卒 組織

前へ

出前館エンジニアのワークスタイル密着編

次へ

アフターコロナを見据えて進化するDX!出前館が考えるIT人材を育てる方法とは?