アフターコロナを見据えて進化するDX!出前館が考えるIT人材を育てる方法とは?

近年加速するDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業がこぞって強化を図る中、IT人材不足が取り沙汰されることも多くなってきています。サービス自体がDXといっても過言ではない出前館でも、開発体制の内製化に伴いエンジニアの底上げに力を入れています。出前館が考えるIT人材を育てる方法とは?マーチャント開発グループのグループマネージャーを務める神保宏和に話をうかがいました。

目次

自己紹介

―まずは自己紹介をお願いします。

マーチャント開発グループのグループマネージャーを務めています、神保です。プログラマー、SIerとして金融系やECサイトの立ち上げに携わった後、ゲームや電子書籍サービスなどを業務委託やプロパーで経験しました。前職ではECサイトのクーポンのプロダクトオーナーの経験を経て、2019年にLINE株式会社(以下、LINE)へ入社。2020年7月に出前館へ出向し、今に至ります。


今求められるのは"マルチに活躍できるエンジニア"

―DXの進化が激しい昨今ですが、出前館ではどのようなIT人材が必要になってきていますか?

一般的に事業会社では、特定のスポットで人材募集をしていると思いますが、出前館ではシステムやアーキテクチャの設計など、幅広い業務が求められます。また、AWS等のクラウド環境でTerraformなどを使ったインフラ周りの構築経験をしているエンジニアが社内では活躍している印象です。マルチに活躍できるエンジニアが重宝され、市場価値も高いのではと思います。

―"マルチに活躍できるエンジニア"とは、どんなエンジニアですか?

私のチームではサーバーサイドエンジニアを採用していますが、では、サーバーサイドエンジニアの領域とは?という話になってきます。要求定義・要件定義・基本設計・詳細設計・実装・単体・結合のようなV字モデルで見たときに、一番下流のプログラミング単体だけしか経験していないのではなく、サービスの環境を作るインフラ面や、開発プロセスでソースコードをデプロイが必要な環境を作るなど、プログラミング以外の他領域も最低限できる、というようなT字人材が求められています。

あとはマインドも大事ですね。一部分しかできない、やりたくないという人ではなく、自分の市場価値を上げたいから、I字ではなく横にも伸ばしていきたいマインドとスキルを持っている方が、チームにはマッチしそうだなと思っています。

―幅広いスキルや知識を元に、大局から物事を見られる視点も必要になってくるのでしょか?

そうですね。何故こういう仕組みになっていて何故それをやっているのかを、ちゃんと理解しながら作業にあたっているのか、それともただ単にプログラミングしているのかで差が出てきます。業務委託の方と面談をする際にも、その技術の選定理由やメリット・デメリットについて聞いています。そこで、いやわかりませんという回答だと、言われたことをやってきたという少しネガティブなイメージが出てしまうと思います。

―出前館はレガシーなシステムを刷新している最中ということもあり、尚更、紐解いていく力が求められそうですね。

まさにその通りです。ドメインの部分では一番古参のメンバーでさえ知らないことがあるんです。RPGのような話になりますが、色んな人に聞きながら、プログラミングを見ながら自分なりに正解を考察してみて、それをステークホルダーのシステムリーダーや設計者に提案、合意をしていく。"こういうリプレイスをかけたいんだけど技術的に可能だろうか、そちらのシステムに影響はないだろうか、ではこういう設計でやらせてください"と。そういうリードができるエンジニアは活躍できると思いますね。逆に、決められた設計であとはコードを書くだけ、という作業しかやりたくない人には厳しいと思います。

出前館が考えるIT人材の育て方とは

―エンジニアを育てる際、どのような点に気を配っていますか?

出前館ではプロパーエンジニア自体が少なく、大きくみると若手層とシニア層に分かれています。若手に関しては特定のスコープで開発をしていましたが、昨年より会社が急拡大する中で、案件的にもサービス的にも色々と成長させなければならず、視点の改善が求められるタイミングがありました。既存のレガシーなシステムしか触っていないエンジニアにとって、新しいアーキテクチャやサービスをゼロイチで作る経験ができる機会がたくさんあるのは、またとないチャンスです。

プロパーエンジニアにはまず、キャリアプランを1on1で聞き出して、自分がやりたいこと、どんな技術を使って成長したいかを聞いています。事業的にやれるチャンスがあるなら、マッチングをかけて、それを目標設定に入れ込みます。一方で、そればかりだとエンジニアがやりたいことだけになってしまうので、マネージャーの私から、今期求められていることや決まっている予算を伝え、そこに対しての品質管理を役割としてやるとか、アーキテクチャのフィジビリティをしっかり決めてやる立場であるとか、ゴール設定を決めた上で、100%できたのか120%できたのかというような評価をしています。

案件がたくさんある状態は、エンジニアの市場価値を上げるには絶好のチャンス。業務委託の方にもプロパー社員にも、今やれることがたくさんあるから、色んなアーキテクチャや技術を採用して成長していこう!と士気を上げていっています。

―キャリアプランが定まっていないエンジニアの育て方は?

とくに新卒のメンバーではキャリアプランが決まっていないケースも多いのですが、開発プロセス全体を理解できていないと思うので、今やっている部分を説明した上で、何年後にその全部のプロセスができるようになる、あるいは経験できるという計画を立てていこうという会話をし、キャリアプランを明確にしていきます。

その工程をやるときにどんなことができていたいのか?という話になると、マネジメント志向なのかテック志向なのかも見えてくるので、山頂までいくには何年後にどうなっていよう、という具体的な設計を一緒に行ったり、今年はどこに重点をおくか話し合ったり。それぞれに合った技術や役割、責任、キャリアプラン、目標設定を一緒に合意しながら進めるのが大事だと思っています。1on1は2週に一度行っていますが、毎回目標設定について話すのも難なので、1カ月や2カ月に一度、大まかに状況を聞いてみて、調整しようとか頑張ろうといった会話をしながら進めています。

―社員に加え業務委託や派遣サービスも活用する中で、役割や求められることに違いはありますか?

出前館のポリシー上、業務委託だと触れない領域や本番環境はあるものの、私のチームではチームビルディングの観点からも役割の違いは分けていません。責任を持って仕事をしてもらいたいというのは、プロパーも業務委託も変わらないです。私もSIer時代、本番環境に触れないことをネガティブに思っていました。下流工程のプログラマーだけやっていても成長しないし、同じルーティンだけやっていても面白くないので、任せられる領域をやれる人がやる、助けられる人が助ける、という環境づくりをしています。

―チームビルディングとしてはどのような施策をとっていますか?

仕組みで言うと、毎朝デイリースクラムという朝会をやっていて、昨日やったこと、今日やること、困っていることを皆に話してもらっています。困ったことがあれば朝会が終わったら話そうとか、困っている人を助けようといった発言も出るようになってきたので、チームとして強くなってきたなと感じています。

もう1つ、振り返りをKPT(Keep/Problem/Try)というフレームワークを使って、週1回行っています。それをすることによって、どんどんチームが良くなっていく。ポストイットやmiroを使って、KeepやProblemを一人2枚3枚と出すのですが、腰が痛いですなんていう業務以外の内容も出るんですね。そういうコミュニケーションを積み重ねることで信頼関係もできてきますし、責任を持って仕事をしてもらい、この現場面白いな、成長できるなと感じてもらえれば、長く頑張れるとも思うので、プロパーや業務委託、出向などの線引きをしないようにしています。

出前館のエンジニア教育システムとは

―エンジニアを育てるために出前館で行っている教育システムについてお聞かせください。

会社全体で言うと、LINEの資本が入ったことで、マネージャー研修も含めてLINE側が持っている教育が受けられるようになりました。また、予算内であれば外部研修などを受けられる制度もあります。興味がある分野が現場で経験できない時は外部研修に参加してもらい、レポートを社内で共有しようという話もでています。

自発的に行われるチームやグループ単位での勉強会も多いです。ハンズオンとナレッジ共有の2パターンがあって、例えばAWS初心者向け勉強会をハンズオンでやったり、フロントエンドの主流技術でもあるReactのハンズオンをやったり、ドメイン知識でいうと出前館ならではの商品設定の特徴を共有したり。まったく未経験の領域を、ちょっと触ったことあるくらいのレベルやスキルシートに少しでも書けるレベルに持っていこう、といった感じです。エンジニア皆で集まったり、お酒を飲みながら業務時間後に行ったりしています。けっこう盛り上がりますよ。

―社内勉強会は自然発生するのでしょうか?

私のチームではKPTのProblemの話題から派生することが多いですね。チームも強くなるし、ナレッジもたまります。サービスやシステムがたくさん立ち上がっているので、興味を持つ分野が増えてきたんでしょうね。こういう研修ないですか?と聞かれることも増えました。技術的に足りていないから補いたいとか、新卒であれば自分がやりたいことに対して今こういう勉強しています、という時に、それなら会社が資金面でサポートするから行って来たらいいよ、と。セキュリティ研修のような参加必須なものもありますが、それぞれがやりたいことや、採用される部署によって求められる技術も個々に違うので、研修サポートも個別であったほうがいいと思っています。

出前館プロパーエンジニアの底上げを図りたい

―今後を担うエンジニアをどのように育てていきたいですか?

やり方自体のプロセスは変えないと思いますが、外的要因で刺激を与えたいと思っています。LINEから海外で通用するスキルを持ったエンジニアも多く出向してきているので、昨年はまずそこで刺激があったのかなと。今後は優秀な人材をどんどん採用し、出前館のプロパーエンジニアを増やしていき、既存のメンバーの底上げをどんどんしていきたいなと思っています。

※新型コロナウィルス感染防止対策を充分に行った上、撮影時のみマスクを外しております。

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